米景気回復がドル安(円高)要因となる理由
※このコラムは上田ハーローFX 週間ニュースに掲載しているものです。
米政府が行ったストレステスト(健全性審査)の結果が公表され、米金融機関に対する安心感と市場センチメント(心理)の改善から2009年の中頃から後半にかけての景気回復期待が高まった。しかし、懸念が燻ぶる欧州や英国に比べ、景気回復の傾向が見えてきた米国のドルが下落してきた。外国為替は2国間の景況感の差を表すと言われているが、他国に比べ景況感がよくなっているドルが売られている(安くなっている)ことに違和感がある方も多いのではないだろうか。
サブプライム問題からの経済危機は世界規模であり、ドルに関しては、基軸通貨として見る必要があるのではないかと思われる。今回のドル安の要因として考えられるものを挙げてみた。
(1)ストレステストの結果、昨年秋以降の信用不安からのドル保有の意味が薄れてきた。
(2)最悪期は脱したとの見方で、金利(利回り)の低いドル資産から他の資産へシフトしだした。
(3)欧州の金融機関に不安が残ることから、ユーロへのレパトリ(資金還流)が起こってきた。
(4)中国の回復により、エマージング(新興工業国)やアジア・オセアニアの回復に期待が高まった。
(5)米国の通貨供給の増加から、ドルの価値が低下する懸念が強くなってきた。
ドルの下落は、昨年秋のリーマン・ショック以降に米国の経済指標の悪化にもかかわらずドルが上昇し、その後に回復傾向を示したがドルが高止まりしていた動きの巻き戻しである。この動きが起こることはある程度の予測ができると思っている。個人的に見ているものであるが、CBOEに上場されている投資家恐怖心理指数(VIX)とFRBが発表しているドルインデックスを一つのグラフにしてみると歪みが発生していること、時期は特定できないが解消に向かうことが推測できた。この動きがさらに続くかどうかは未定だが、週末の市場が休みのときにでもチェックをしておくとよいのではないか。今後は、更に米国のマネーサプライなどにも注目していく必要があると思っている。
【投資家恐怖心理指数、ドル/円】
source:CBOE,FXmuseum,Uedaharlowfx
投資家恐怖心理指数(英語)
http://www.cboe.com/micro/vix/pricecharts.aspx
ドルインデックス[2)MAJOR CURRENCY MAR73=100を参照されたい](英語)
http://www.federalreserve.gov/releases/h10/Current/default.htm




