出口が見え始めたのはどこか
※このコラムは上田ハーローFX 週間ニュースに掲載しているものです。
最近は朝晩めっきり冷え込むようになり、特に朝のひきしまる空気は気持のよいものだ。秋も深まり、行楽シーズンを迎え、各地は紅葉を楽しむ観光客で賑わっているようだ。紅葉見物に山間部に行くことが多いと思うが、いくつかトンネルを通ることがあるだろう。トンネルにも短いのものと長いものがあるが、長いトンネルに入ると出口が見えるまでつい不安になってしまう。
11月の3-4日に米国では公開市場委員会(FOMC)、4-5日には英国で中銀(BOE)金融政策委員会、5日には欧州で中銀(ECB)理事会が開催された。この3つの国と地域では昨年秋からの金融や経済危機に対する出口の違いが出てきているようで、出口政策の道筋を示せなかった米国、出口が遠のいた英国、出口が近づいた欧州と三者三様となった。
米FOMCでの声明では「長期にわたり(for an extended period)」という文言が維持される一方で、、エージェンシー債の買取枠は「最大2000 億ドル」から「1750 億ドル程度」に縮小された。ただ、これは制度が活用されなくなっただけで、出口政策に向けたものではない。景気に関しても住宅の回復が定着してきたと前向きを示したものの、金融セクタを除くと全般的には前回と変わっていないとの認識だった。
英BOEは、250億ポンドの資産買い取り枠の増額を決定、声明では「経済活動の回復は緩慢なものになる見込み」としながらも「これまでの緩和による著しい刺激効果が経済に浸透している 」「資産買い入れプログラムは資産価格上昇に寄与 」と資産買入プログラムに関して肯定的な見解を示した。ただ、250億ポンドの資産買入枠拡大は、従来の中銀の主張の「0.25%よりも小幅な政策金利の変更を行うようなもの」と併せて考えると、事実上の利下げに踏み切ったとも言えなくはないであろう。
ECBでは、トリシェECB総裁が記者会見で「現段階で私に言えるのは、12か月物LTROが今年を過ぎて延長されることを市場は予想していないということだ。私は市場の見方を打ち消すようなことを言うつもりはない」と発言し、出口に向けて動き出したというようにも見える。ただ、「市場の機能を変更すること、ことは我々の意図するところではない」とも発言しており、本格的な出口政策を行うまでには達していないことを示しているようだ。
一時期、一番出口が近いと言われていた英国が現時点では一番遠くなっているのも皮肉な話だが、本格的な出口政策がとられるまでは、市場は不安と隣り合わせの中で動いていくことになろう。




